ペットの価値は

最近の裁判例の調査をしていたところ,次のようなニュースを見つけました。

「ペットの秋田犬死亡で59万円賠償命令 動物病院診断ミス」
(慰謝料として認められた額は40万円)

どうとるかは個人の価値観によるところも大きいと思いますが,犬を飼っている方の多くは「額が低すぎる」と思われたのではないでしょうか。

長年犬を飼ってきており,まさに家族の一員として扱っている私にとっても,感情的にはとても納得できない金額です。

一方で,当然ながら弁護士の視点でも見てしまうわけですが,その観点からの感想は「こんなものだろうな」むしろ「少し高めかな」,というのが正直なところになってしまいます。

残念ながら,いくら大事な存在であろうとペットの法律上の位置づけは決して高くはないからです。語弊を恐れずにいえば,民事上は単なる「物」に近いといってもいいと思います。

そして,物が他人の故意・過失により毀損された場合,加害者が賠償すべき額は,その物の物的な価値が原則であり,それが失われたことによる精神的苦痛に対する賠償,いわゆる慰謝料は例外的な場合にしか認められません。しかも,慰謝料が認められたとしても,人の身体生命の場合と異なり,その額はかなり低廉にとどまるというのが現実です。

ですから,慰謝料としてそれなりの額が認められている今回の件は「まだいい方」と感じてしまうわけです。

もちろん,この現実が仕方ないと思っているわけではありません。ミスしてもこの程度のペナルティでは,責任感や緊張感なく治療にあたってしまう獣医師の先生がいないとも限りませんし(もちろん大半の先生はそうではないと思いますが),もう少しどうにかならないかと忸怩たる思いはあるところです。

しかし,裁判所の考え方が激変することはまずないでしょうし,とりあえずはよくよく吟味して病院を選ぶなど,飼い主の私達で自衛してあげるしかないのでしょうね。

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2018年09月20日